2004年8月24日(火) 天気 : 晴れ

谷中村滅亡史

稀代の悪法と呼ばれる法律がある。
たとえば土地収用法。
足尾鉱毒事件で揺れた村は1907年に土地収用法に基づき強制買収され、水没してしまった。

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 明治十四年、時の栃木県知事藤川為親氏が,渡良瀬川の魚類を食ふことを禁じて、鉱毒問題の先鋒に叫んで、不幸島根県に追われてより、年を閲すること爰に二十有六年、鉱毒の被害の激甚地として、はたまた瀦水地問題の紛争地として、多年紛糾錯綜の渦中に投ぜられ、何時解決せらるべしとも見えざりし、栃木県下都賀郡谷中は、明治四十年七月五日、遂に政府の兇暴無残なる毒手に破壊せられ終んぬ。
 ああ谷中村は遂に滅亡したるか、二十年の久しき、政府当局の暴状を弾劾して、可憐なる村民のために尽悴し来れる、老義人田中正造翁が熱誠は、空しく渡良瀬川の水泡と消え去るべきか。
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上記は荒畑寒村著『谷中村滅亡史』が1970年に新泉社から復刻された版からの「緒言」の引用である。
私の手元にあるのは1981年の第17刷なので定価1200円。
現在は岩波文庫から定価525円(悪税込)で出ている。

当時まだ二十歳だった荒畑寒村さんが著わした『谷中村滅亡史』は、たかが抽象的概念にすぎない国家が具体的な姿をかいま見せるときにどれだけ恐ろしいものか活写している。
成田空港建設でも同じように強制代執行が繰り返された。

「稀代の」と書いてしまったが、実は結構たくさんある。
後に寒村さんが反対していた破壊活動防止法もそうだろう。
最近は特に急激に増えている。

通信傍受法(盗聴法)、住民基本台帳法、有事関連法。
半世紀の日本の歴史を吹き飛ばし、「日本国」を昔の姿に戻すための法整備が着々と進んでいる。
今度は「共謀罪」である。
組織犯罪処罰法が改正され、「共謀罪」という犯罪が生まれることになる。

元々はアメリカからおしつけられた「国際組織犯罪防止条約」のために作られるのだが、市民団体や労組といったまつろわぬ民を狩るために活用されることになるのだろう。
これまで運用が厳しく制限されていた盗聴法の運用が緩和されるというのが、実際上の大きな変化になるようだ。
実行行為をまったく伴わなくても「共謀」と断定されれば、逮捕される。
「共謀した者でも自首すれば刑を軽減する」という条件が付くので、陰湿な密告社会が訪れる。

あなたも簡単に犯罪者にされる。

谷中村滅亡史

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