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遅い晩飯を食べている時に、おっ母さんがテレビで『となりのトトロ』を見ていた。
「ちっちゃい子は無茶をするからねえ」
六十年以上も前のことを思い出したらしい。
「タダスケが親父さんのところに新聞持っていったんだよ」
小さなター坊がいなくなって大騒ぎになったそうだ。
何キロも離れた病院に、新聞を届けてあげようと、懸命に歩いたのだろう。
「親父さん」はまもなく亡くなった。
もうずっと昔の話。
今ター坊叔父さんは隣町に暮らして、趣味で野菜を作っている。
毎週のように何か届けてくれる。
さて、注文するのが遅れたので、だいぶ遅くなって届いたイサトさんの新アルバム。
『あの日の風』
アルバムのタイトルになっている「あの日の風」という曲は、「(dedicated for 坂庭省悟、高田渡)」と献辞が付いています。
♪ 憶えているよあの日の空
♪ 感じていたよあの日の風
♪ 僕は今も忘れない
♪ あの暑い夏の日
省悟さんと渡さんが続けて亡くなったことが、イサトさんに約三十年ぶりというボーカルアルバムを作らせるきっかけになったのでしょう。
(「for」より「to」の方が良いような気がします。)
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一時期、僕の中で'70年代の吉祥寺を引きずっていたのは確かで、何か叶うのならあの時代をもう一度って少しは思ってもいました。
でもそんなものは何も残っていなかったんです。
人も建物も…。
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アルバムの1曲目があの「吉祥寺1972」。
♪ 中道通りを少しばかり行くと
♪ あのバンビって洋食屋が
♪ その後ゆくのは決まってたよ
♪ そうあの武蔵野火薬庫
イサトさんが「僕にとって吉祥寺が最も刺激的だった」という1972年。
吉祥寺はまだこの僕にとっては遠い街だった。
中道通りにあったちょっと特殊な本屋さんでアルバイトをして暮らしたのは、もう80年代に入ろうという頃だった。
その時には「ぐゎらん堂」はまだあった。
週刊少年ジャンプが化け物雑誌になる頃で、「ぐゎらん堂」用に一冊取り置いた覚えがある。
『あの日の風』
中川イサトwith武蔵野レビュー
1 吉祥寺1972
2 Willin'
3 呟き
4 The City of New Orleans
5 北帰行
6 The Weight
7 I'm So Lonesome I Could Cry
8 ホライゾン
9 あの日の風 (dedicated for 坂庭省悟、高田渡)
10 終わりの始まり
11 生活の柄
12 Freight Train (Instrumental)
中川イサト:Guitar, Vocal
竹田裕美子:Piano, Keyboard, Accordion
宮崎勝之:Mandolin, Vocal
大庭珍太:Bass, Vocal
古橋一晃:Guitar
河野俊二:Drums, Percussion
 

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