|
雑誌『まんがNo.1』1973年3月号の付録ソノシートに収録された「桜三月散歩道」と、アルバム『氷の世界』(1973年12月)の「桜三月散歩道」を聴き較べた。
もちろんCDで聴けるアルバム版の方がずっと音が良いのだが、アレンジはかなり近い。
歌詞も思っていたほど変わってはいなかった。
言葉の順序を入れ替えた箇所が多い。
ただ、ソノシートの三番で「町へ行けば 革命だ」と歌っているところが「町へ行けば 人が死ぬ」となっているのが、とても大きい。
でも、曲の印象を大きく変えたのは、語りの違いの方が大きいだろう。
声が違うということもあるが、2回あった朗読を1回にまとめてしまった。
キャッチボールや健康ボールが消え、江戸川や帝釈天といった具体的イメージを喚起するような言葉も消えている。
健康ボールというのは、時代を背負った言葉だったとも言えるだろう。
夏の日の夕方だけに絞り、時代や場所を表す具体的な言葉が消えたことによって、影踏みの幻想的なイメージが強調されたように思える。
長谷邦夫少年に残っていた戦後民主主義や革命のにおいが消えて、見事に「氷の世界」を構成するようになったのだ。
→健康ボール
-------------------------------------------------------
【語り部分の異同】
[まんがNo.1版]
(一番と二番の間)
夏の日の夕方 水泳から帰った僕たちは
みんな真っ白なシャツを着ると
色の剥げた貨物船のような倉庫のある
細い道に集まるんだ
僕らがキャッチボールを始めると
道路は瞳の中の涙のように急に広がって
白シャツも影の中に沈んでしまい
白く光るのは たった一つの健康ボールだけになっちゃうんだな
(二番と三番の間)
秋 やっぱり夕方近くになると
僕たち子供は家の窓を開け
涼しくなった空を見上げてから
江戸川の堤に駆け登るんだ
みんなで影を連れてね
帝釈天の向こうの夕日が
太い煙突に吸い込まれるまで
影踏みをして遊ぶんだ
影を踏もうとすると
影は驚いた魚のように逃げたっけ
[氷の世界版]
(二番と三番の間)
夏の日の夕方 学校から帰ると僕たちは
みんな真っ白なシャツを着て
色の剥げた貨物船のような倉庫のある
細い道に集まり
それから川の堤に駆け登るんだ
みんなで影を連れてね
夕日が
太い煙突に吸い込まれるまで
影踏みをして遊ぶんだ
影を踏もうとすると
影は驚いた魚のように逃げたっけ
【歌詞の異同】
★一番
[まんがNo.1版]
だって人が狂い始めるのは
だって狂った桜が散るのは三月
[氷の世界版]
だって君が花びらになるのは
だって狂った恋が咲くのは三月
★二番
[まんがNo.1版]
町へ行けば 人が死ぬ
町へ行けば 人が死ぬ
今は君だけ 思って走ろう
だって僕が狂い始めるのは
だって狂った恋が咲くのは三月
[氷の世界版]
町へ行けば 風が舞う
町へ行けば 風が舞う
今は君だけ追いかけて風になろう
だって僕が狂い始めるのは
だって狂った風が吹くのは三月
★三番
[まんがNo.1版]
町へ行けば 革命だ
町へ行けば 革命だ
今は君だけ想って風になろう
だって君が花びらになるのは
だって狂った風が吹くのは三月
[氷の世界版]
町へ行けば 人が死ぬ
町へ行けば 人が死ぬ
今は君だけ想って生きよう
だって人が狂い始めるのは
だって狂った桜が散るのは三月
-------------------------------------------------------


|