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幸福の風景 CHRONICLES #162

千本浜 2004年10月

異常な人気と貼り付けられたラベル、実際に押し寄せてくるいいかげんな連中や取材記者、そして街の人々の視線に、ディランは苦しみます。
でも、あまり暗い筆致ではありません。
ついつい、読んでいる人を楽しませようとしてしまうようです。

chappi-chappiさんのレスに返事を付けていて気づいたのですが、"Esquire"の表紙をマルコムXやケネディと共に飾ったのは、とても恐いことだったのではないでしょうか。
僕はただの歌手なのに、暗殺された政治家たちと並べられている。
僕も暗殺されるんじゃないだろうか。

政治家ケネディの暗殺を一人の父親の死として受け止めたのは、子供たちに囲まれて家庭の平和な幸せを感じていたディランにとって、とても身近なものに感じられたからでしょう。

自分もそんなふうに突然殺されるかもしれない。
でも、自分はこの子たちを守らなければならない。
そのためには、自分の身も守らなければならない。

そうは書いていないのです。
ディランはついついドタバタをおもしろく描いてしまいます。

ディランにとって最も大切なのは、家族が息をする空間を手に入れることでした。

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It was tough moving around -- like the Merle Haggard song, "...I'm on the run, the highway is my home."
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マール・ハッガード(Merle Haggard)の"I'm A Lonesome Fugitive"という曲ですね。
「逃亡者」という邦題が付いていたかもしれません。

 →I'm A Lonesome Fugitive

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Creativity has much to do with experience, observation and imagination, and if any one of those key elements is missing, it doesn't work. It was impossible now for me to observe anything without being observed.
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人は街でディランを見掛けるとささやきあいます。
「あれよ、あの人よ」
「あれが?」
自分を中心に、山が動いているかのように、人が動きます。

ああ、似たような光景を、この地方都市で見た記憶があります。
私はバルセロナオリンピックの年に、故郷に帰ってきました。
夜中に水泳競技の中継をテレビで流しながら仕事をしていると、中学2年生の女の子が優勝してしまいました。

「今まで生きてきた中で一番幸せです」

休みの日に家の近くのロッテリアで友だちとおしゃべりをするのが大好きな普通の女の子だったのですが、しばらくはそんなことがまったくできなくなってしまいました。
「あ、あの子よ」
「あれが?」
みんなが、ささやくのです。


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