詩人としてマクリーシュを高く評価していただけあって、ディランは著者近影などの写真をよく覚えていたようです。
ポニーに乗った幼少時代の写真、第一次世界大戦時の砲兵隊での大尉としての写真、エッフェル塔の前で撮った写真、「フォーチュン」誌の編集会議の写真、ピューリッツァー賞受賞時の写真。
いちいち説明しているところがおかしいです。
そういった写真で見知ったような人物が近づいてきて、握手をしようと手を差し出してきます。
既に名を成していたディランですが、詳細に語っているところをみると緊張していたんでしょうね。
英国の将校に望ましい資質として"an officer and gentleman(将校にして紳士)"といった言い方がありますが、ディランはマクリーシュにそんな資質を感じたようです。
マクリーシュはオーラを放っていました。
手紙に書いてあったことを繰り返して言います。
「パウンドとエリオットは眩学的に過ぎたね」
これは、ディランが自分の歌の中にエズラ・パウンドとTSエリオットを象徴的に登場させていたからです。
曲名が書いてありませんが、"Desolation Raw"ですね。
→bobdylan.com: Desolation Raw
> Praise be to Nero's Neptune
> The Titanic sails at dawn
> And everybody's shouting
> "Which Side Are You On?"
> And Ezra Pound and T. S. Eliot
> Fighting in the captain's tower
> While calypso singers laugh at them
> And fishermen hold flowers
> Between the windows of the sea
> Where lovely mermaids flow
> And nobody has to think too much
> About Desolation Row
"Desolation Raw" Bob Dylan
> 讃えられてあれ ネロのネプチューン
> タイタニック号は夜明けに船出し
> みんなさけんでいる
> 「おまえはどちら側なのか?」
> エズラ・パウンドとT.S.エリオット
> が船長の塔で争っていると
> カリプソ唄いは彼らをわらい
> 漁師たちが花をささげる
> 海の窓のあいだ
> きれいな人魚がながれ
> だれもおもいわずらったりしない
> 廃墟の街のことなど
「廃墟の街」片桐ユズル訳
わけわかりませんなあ。
この歌には、ロミオ、シンデレラ、カインとアベル、ノートルダムのせむし男のような物語の登場人物が数多く歌われているのですが、その中にアインシュタインやエズラ・パウンドが紛れ込んでいます。
おおむねパンタさんの「マーラーズ・パーラー」のようなコラージュとして聴いていました。
好きな曲なんで、一昨年作った「My Best Dylans #1」にもちゃんと入れました。
→2003年9月9日付日録: My Best Dylans #1
ディランはT.S.エリオットが大好きだったけれど、エズラ・パウンドは読んだことがなかったそうです。
エズラ・パウンドに関してディランが知っていたのは、パウンドが第二次大戦中にナチスの同調者としてイタリアから反米放送を行なっていたことだけでした。
両者を熟知しているから歌っているのかと思ったら、そういうことでもないんですね。
→荒地/T.S.エリオット
→エズラ・パウンド (1885-1973)
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