Home > ボブ・ディラン自伝『クロニクルズ』 > CHRONICLES #105 せっかちディラン

CHRONICLES #105 せっかちディラン

駅付近 2005年3月21日

ディランはアイルランドの歌に強く引き付けられていたのですが、「アイルランドの風景はアメリカの風景とはあまり似ていない」ので、「楔形文字を刻む書板」のようなものを見つけなければならないと思いました。

同じものを「道を照らす、古めかしい古風な聖杯のようなもの」とも言い換えています。
この比喩がわかりにくいですね。
「聖杯」と訳しておいたのは「grail」なんですが、普通は大皿(platter)や杯(cup)を指すものです。
きっともっとちゃんとした訳があるのでしょう。

「どんな歌を書くべきかということはわかったのだが、それをどうやって書いたらいいのかは、まだわからなかった」

------------------------------------
【追記】No.1

風呂で湯につかりながら考えたのですが、だいたい作るべき歌のイメージはできたのだけれど、それを具体的な形にする決定的な道具が欠けていたということなんでしょうね。

聖杯伝説を思い浮かべて、私は「聖杯」と読んだのです。

 →テンプル 騎士団?聖杯伝説:聖杯の物語
------------------------------------


さて、二行空けて、いきなりおもしろいことが書いてあります。

------------------------------------
I did everything fast. Thought fast, ate fast, talked fast and walked fast. I even sang my songs fast. I need to slow my mind down if I was going to be a composer with anything to say.
------------------------------------

ディランはとってもせっかち君だったんですね。
なんでもかんでもさっさかさっさか。

映画『青春デンデケデケデケ』で、根岸季衣さん演じるお母さんがちゃっちゃとっちゃっちゃとやってました。
つげ義春さんの「長八の宿」では、ジッさんが猛烈なスピードでご飯をかっこんでました。
現実に接した人物では、私が以前在籍していた零細出版社の社長が実にせっかちな人でした。
元は新左翼の本など出していたのが玄米食の本も出すようになって、ずいぶん食べ物に気をつかっていたのに、いつもお弁当をすごい速さでたいらげてました。

そういえばディランは「Cafe Wha?」の賄い場で、缶に入ったポーク&ビーンズや、フライパンに入ったままのスパゲッティをかっこんでましたね。
それをコーラで流し込んでいたんです。
猛烈なスピードで食べる、若きディランが想像できます。

ディランは自分が変わらなければならないと感じたのですが、まずその生きる速度を変えなければならないと思ったのですね。
自分を律して変わることができるんだから、たいしたものです。
だから今も元気にツアーを続けることができるわけですな。

ただいまp.84です。


www.iraqbodycount.orgwww.iraqbodycount.org
www.iraqbodycount.org

幻泉館 リンク用バナー

Comments:0

Comment Form

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.gensenkan.net/~blog/mt-tb.cgi/231
Listed below are links to weblogs that reference
CHRONICLES #105 せっかちディラン from 幻泉館日録

Home > ボブ・ディラン自伝『クロニクルズ』 > CHRONICLES #105 せっかちディラン

Search
Feeds

Return to page top