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近代の奈落

以前書いたかとも思いますが、『近代の奈落』を読んだ時の日録の一部を再掲しておきます。

----------[2002年11月18日付日録より]

宮崎学『近代の奈落』
宮崎学『近代の奈落』
解放出版社
四六版上製 本文475p
定価:2100円(悪税込)

第1章 川筋のボタ山に立つ―筑豊の部落解放運動と羽音豊
第2章 突破者から見た解放の父―もう一つの松本治一郎伝
第3章 曙光をもたらした青年たち―柏原三青年と全国水平社
第4章 水平社精神を継ぐもの―戦後奈良の部落解放運動と川口正志
第5章 渦巻く大都市部落―京都部落解放運動の光と影
第6章 歴史に呼び出された男たち―松田喜一、泉野利喜蔵、栗須七郎、そして大阪の水平運動
第7章 大逆事件から水平社まで―明治・大正期和歌山の被差別部落
第8章 眼醒めたものは悲しくなかった―『破戒』と長野県の水平運動
第9章 水平線上の赤と黒―アナ・ボル対立と平野小劔・高橋貞樹


『近代の奈落』読了
本文が470ページを超える厚い本だが、易しく書かれているので読み終わるのにこれほど時間がかかるとは思わなかった。
久しぶりにヒトサマにお勧めできる本です。

突破者・宮崎学氏が部落解放運動の黎明期からの歴史を、綿密なルポと調査によって熱く語っています。
どうしてこんなに時間をかけることができるのか読みながら不思議に思っていたら、これは『月刊部落解放』に連載された記事をもとにしたのだそうな。なるほど。

日本の歴史に登場する、おそらく最も感動的な文言「全国水平社宣言」を、誰がどのように書いたのか。
日本の近代の夜明けに、懸命に生きた青年たちの姿は美しいぞ。

歴史から消された青年たちを語る口調が優しい。
明けるはずだった夜がなぜ明けなかったのか。
キツネ目のおっちゃんの偉いところは、敵を確定できるところ。
「平沼騏一郎」という指摘は正しい。

今日本の構造がすごい勢いで変わろうとしているのは、首相ががんばっているからではない。
官僚が本気だからだ。
「クリーン」な「正しい」方向へ国を変えていこうと真剣なのだ。
だからこそ、大変困ったことなのである。

大西巨人の大傑作『神聖喜劇』に、魅力的な人物が登場する。
今手元にないので具体的に書けないのだが、映画『戦場のメリークリスマス』に出てくる二人がそれによく似ている。
『戦メリ』の場合はビートたけしと坂本龍一が演じた。

日常的に差別し、搾取する直接の敵は「兵隊」であるビートたけしたちである。粗野で乱暴で、しかし愛すべき庶民でもある。その日常的な差別を正してくれることさえあるのが、清廉なる「軍人」坂本龍一。そこでほいほいと「軍人」の番犬になっちゃいけない。本当の敵は国家を体現する「軍人」の方なんだ。

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