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CHRONICLES #29 (Bob Dylan)

千本浜 2004年12月8日

ページの途中で二行空けて、ディランの意識はまたレイの部屋に戻ります。
その部屋は本当に静かな部屋でした。
ラジオやレコードを聴いていなければ、墓場のような静けさの中でディランは本に没頭していたのです。
考古学者のように本を発掘していたと書いています。

共和党急進派サディウス・スティーヴンズ(Thaddeus Stevens)の伝記を読んだそうです。
アンドリュー・ジョンソン(Andrew Johnson)大統領弾劾の中心人物ですね。

 →『剣なき闘い』

ジョンソン大統領はリンカーン大統領の時の副大統領で、リンカーン暗殺によって大統領に昇格した人物です。
ケネディ大統領暗殺の時もリンドン・ジョンソン副大統領が昇格したので、二人とも「ジョンソン」だと話題になりましたが、まあ平凡な姓ですからね。

奴隷解放を推し進め、黒人の待遇改善や公民権授与を求めて努力したのが、スティーヴンズです。
死後は黒人墓地に埋葬してくれという遺言を残したそうですが、現在のブッシュ大統領で共和党をとらえていると、ちょっと想像できませんね。

ディランの記述によれば、スティーヴンズはバイロンと同様に内反足(clubfoot)でした。
バイロンと同様にと書くところがディランです。

 →先天性内反足

貧しかったけれど自分の力で財を成し、そして社会的弱者を擁護するために戦ったのだそうです。
リンカーン大統領がアメリカン・ドリームの一つの典型として引き合いに出されるのと似ています。
リンカーンもスティーヴンズも共和党。
スティーヴンズが糾弾したジョンソン大統領は元々民主党なんですが、共和党に鞍替えして副大統領になったのだそうです。

スティーヴンズはブラックユーモアのセンスがあり、鋭い口舌で、当時の傲慢な「貴族」に対する熾烈な憎悪を表現しました。
奴隷所有者の土地を没収しようとしていました。
議会の同僚議員のことを「自分の粘液の中をこそこそ歩く」などと評しました。
反メーソンであり、敵対するフリーメーソンを口元から血煙が上がっていると批難しました。
政敵の真っ只中にいながら、その敵を「光を避けて群れの中に隠れている、動きののろい、弱っちい爬虫類」と呼びました。

この伝説的な共和党員に、ディランはずいぶん惚れ込んだようです。
ただいまp.40。


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