Home > ボブ・ディラン自伝『クロニクルズ』 > CHRONICLES #24 (Bob Dylan)

CHRONICLES #24 (Bob Dylan)

千本浜 2004年8月

ディランはラジオのスイッチを切って、部屋の筋向かいにある白黒テレビを点けます。
そう、『巨人の星』で一球投げるのに何週間もかかったのと同じように、今までディランはラジオを聴いていたのです。
もっとも、本文では丸三ページ分ほど。
おそらくそんなに長い時間ではありません。

1961年2月の寒い日に、ディランがレイとクローイの部屋に泊まったのは事実だと思います。
その部屋にあるラジオでロイ・オービソンの新曲を聴いたあたりまではやはり事実だと思いますが、実際にラジオを聴きながら今まで書いたようなことを、その時に考えたのかどうかは、怪しいなと思います。
もうすぐ二十歳という年齢のころに考えていたことではあるのでしょうが、レイとクローイの部屋ではどうだったんでしょう。

もちろん意図的に伝説を作ろうとしているのではないでしょう。
再構成された、ディランにとっての事実。
それでいいのだと思います。

二行空けて、僕はラジオを切ったという文が出てくるので、読者はハッと我に返るのです。
そうなんだ、ディランはラジオを聴いていろいろ考えていたのだと。

テレビでは"Wagon Train"を放映していました。
この番組は知らないので調べてみると、日本では『幌馬車隊』というタイトルだったようです。
平尾昌晃さんが主題歌を歌っていたとか。

 ♪ 隊長アダムスの指揮のもと
 ♪ 時には憎み、また、愛し合う
 ♪ 野越え、山越え、幌を連ね
 ♪ 行くぞ、我らがWAGON TRAIN

うん、まるでわかりませんわ。
60年代前半のテレビ番組は、日本のドラマやバラエティは生放送。
アメリカ生まれのドラマはフィルムのものを流していました。
うちはお金持ちではなかったのでテレビが来たのは遅かったし、地方局の民放は一つしかなかったので、たぶん見ていません。

ディランはすぐにテレビのスイッチを切って、別の部屋に行きます。
窓のない、洞穴のような書斎です。
床から天井までジャンルを問わずぎっしりと本が詰まっていて、過剰な存在感があります。
固有名詞が列挙してありますが、その関連の本があったということでしょう。

Brando
 マーロン・ブランド(Marlon Brando)のことでしょうか。
 『波止場(On the Waterfront)』は1954年の作品です。

James Dean
 ジェームズ・ディーンの死(1955年)から六年後です。

Milton Berle
 ヴォードヴィルの人気者で、テレビの寵児となったそうです。
 「Uncle Miltie」「Mr. Television」と呼ばれる。

Marilyn Monroe
 マリリン・モンローが亡くなるのはこの翌年、1962年です。

Lucy
 この流れから行くと、「I Love Lucy」や「Lucy Show」のルーシーでしょう。
 ルシール・ボールさんの当たり役ね。

Earl Warren
 最高裁判所首席裁判官(1953-69)
 ケネディ大統領暗殺事件調査委員会の長(1963-64)

Khrushchev
 フルシチョフ、もちろん共産党第一書記&首相。
 脱スターリンの時代です。

Castro
 1959年にカストロが首相になって、まだ2年しか経っていません。
 21世紀になっても君臨しているとは、ディランも夢にも思わなかったことでしょう。

Little Rock
 高校でアフリカ系アメリカ人が登校することを阻まれた人種差別事件のことだと思います。
 →Little Rock Crisis

Peyton Place
 これはテレビドラマですね。
 ん、小説の映画化(1957年)の方かな。
 →The PEYTON PLACE Pages

Tennessee Williams
 おお、これぞグリニッチ・ビレッジの青春ですな。

Joe DiMaggio
 こちらもアメリカの英雄ですな。
 →Joe DiMaggio

J. Edgar Hoover
 半世紀近く(1924-1972)FBIの長官を務めた人物です。
 →FBIの歴史

Westinghouse
 わかりませんが、総合電機メーカーのWestinghouse Electric社のことでしょうか。
 Westinghouse

The Nelsons
 これがどちらのネルソンさんなのかわかりません。
 このシリーズなのかなあ。
 →Here Comes the Nelsons

Holiday Inn
 これは普通にホテルのチェーンでしょう。
 1952年創立だそうです。

hot-rod Chevys
 シボレーの改造車でしょうか。
 チバラギなスカG?

Mickey Spillane
 私立探偵マイク・ハマー(Mike Hammer)シリーズの作家ですね。
 →外国テレビ映画紹介

Joe McCarthy
 「赤狩り」を巻き起こした大嘘つきの上院議員です。

Levittown
 大規模な住宅開発が行なわれた町ということでいいのでしょうか。

今ではとてもわかりにくい固有名詞が並んでいるのですが、意外にup-to-dateなモノが詰まった書庫であるようです。
並んだ固有名詞から想像すると、もしかしたら雑誌の方が多かったのかもしれません。


www.iraqbodycount.orgwww.iraqbodycount.org
www.iraqbodycount.org

Comments:0

Comment Form

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.gensenkan.net/~blog/mt-tb.cgi/39
Listed below are links to weblogs that reference
CHRONICLES #24 (Bob Dylan) from 幻泉館日録

Home > ボブ・ディラン自伝『クロニクルズ』 > CHRONICLES #24 (Bob Dylan)

Search
Feeds

Return to page top