CHRONICLES #109 内戦の記憶

千本浜 2005年3月24日

南北戦争前夜、各地に暴動が起こりました。
1850年代末、そんな記事に混ざって、新聞にリンカーンが登場するようになります。
様々に戯画化されていました。
ヒヒ(baboon)やキリン(giraff)に描かれていたそうです。
現在のように、リンカーンがアメリカの師父のように描かれることなど想像もできませんでした。
誰もリンカーンの言うことなど、まじめに受け取ってはいませんでした。
新聞記事を貪り読みながら、どんな歌が作れるものか、ディランは考えます。
人々がどれだけ強く地縁によって結びつき、そして宗教的な理想というものがどれだけひどい敵を生み出すものなのか。
少し経つと、こんなものしかないのに気づくのだ。
感情、暗黒の日々、分離、悪に対する悪……人間の運命をどんどんと外れていく。
これは長い弔いの歌であるのだが、しかしテーマとしてはある種の不完全なものとなってしまう。
非常に抽象的なイデオロギー、数多くの叙事詩、髭を生やした登場人物たち、必ずしも善良ではない高位の人々。
どれもそれ一つだけで、満足できるものにはならない。
新しく古典となるような価値も見いだせない。
騎士道と栄誉のレトリックなんてものは、きっと後から付け加えられたんだろう。
南北戦争当時の新聞を読んで、ディランは失望したようです。
————————————–
It’s a shame what happened to the women. Most of them were abandoned to starve on farms with their children, unprotected and left to fend for themselves as victimes to the elements. The suffering is endless, and the punishment is going to be forever.
女性に起きたことは本当に残念である。ほとんどはその子供と一緒に、農場に無防備なまま捨て置かれ、自力で自然の猛威と格闘し、そして犠牲者となった。その苦しみは終わりのないものであり、そしてその罰は永遠に続くことになる。
————————————–
二十歳になる直前のディランが、こうして百年前の新聞記事から、内戦の事実を読み取っていくのです。
ただいまp.86です。
www.iraqbodycount.org www.iraqbodycount.org
www.iraqbodycount.org

幻泉館 リンク用バナー

カテゴリー: ボブ・ディラン自伝『クロニクルズ』 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です